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「ねえ、お父さん」
「ん?ちょっと待ってろ」
行け!!そこだ!刺せ!!ッ畜生、また負けかよ!
「あん?どうした、信」
「お馬さん負けたの?」
ッ!!
「お前は、俺をおちょくってんのか!!ああ、負けたよ!それをわざわざお前は!!ーーーーーーックソ!!」
その瞬間、あまり大きくない少年の首を掴み上げ壁際に飛ばすと、男からは蹴りとパンチがとんでいた。
まだ、少年の顔面が腫れ体中に痣ができるまで。
ガチャ。
不意に、玄関の扉が開くと入って来たのは女性と信より少し小さな少年。
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいーーーーーー。
「あなた、いい加減にして!!もう、うんざりよ!!ーーーーーー信、謝らなくて良いのよ」
「ーーーーーーお母さん」
ズズッと鼻をすすり涙目のまま、女性を見つめた。
「悪いのは、あの人なのーーーーーーだから謝らなくていいわ、信」
「ーーーーーーうん」
「ほら、お兄ちゃんでしょ。涙を拭いて、向こうの部屋で涼と一緒に遊んであげて。ね?」
「ーーーーーーうん、わかったよ。お母さん」
部屋を出るとき振り向き際に見た男性の姿は、少年が見た、父の最後の姿だった。
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