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「あ、信。母さん、今日帰るの遅くなると思うから、晩御飯はいいわ。それじゃ、行ってきます。あんた達も遅刻しないようにしなさいよ」
「オッケー、行ってらっしゃい」
「行ってらっしゃーい」
台所とリビングから一つずつ返事が返ってきたのを確認してドアを開けて走り出す。
(まあ、母さんの日課みたいなものだ)
キュッ!キュッ!
洗いものを終えた俺は、エプロンを食卓の椅子にかけてリビングへと向かった。
「兄ちゃん!!体操服に穴が空いてるの忘れてたんだ。・・・・・・時間ないよ、どうしよう」
うーん。8時5分。走らなければ遅刻する時間帯か・・・っよし!
「涼、体育は何時間目だ?」
「二時間目だよ?」
何故に疑問形なんだ、弟よ。
「まあいい。俺のロッカーに裁縫道具を常備してあるから、一時間目が終わったら俺のクラスに来い。その時までに直しておいてやるから」
ほれ。
差し出した手に体操服を手渡され、かばんに弁当と一緒に突っ込んだ。
「よし、時間が無いから走るぞ!!」
「ちょっと待ってよ、信兄ちゃん!?鍵がまだーーーーーー」
聞く耳持たん!俺、文化部。お前は、運動部ーーーーーーしかも、陸上。オーケイ?・・・ああ、寒いな。
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