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自殺か?
躊躇している自分とは関係なく
身体が勝手に足を運ぶ。
頭の中が真っ白になった。
思考が停止している。
さっきまでの高揚感は既に過去の宴。
「俺 何する気」
拒絶が一瞬垣間見せた 思考の海。
静かに沈む。
小さな波紋を残して。
気がつけば 倒れている女の傍に立っている自分がいた。
が 予想は裏切った。
「うっ」
うめき声が微かに聞こえ
その女性はムクッと手を着いて放心状態のまま立ち上がろうとした。
慌てて俺は肩を優しく貸しながら震える声で
「大丈夫ですか?」
間の抜けたありきたりの言葉しか出て来なかったが
"生きている" 事が理性を失わずにいられる理由でもあるのか
しっかりとした足取りで
歩き出した。
あっ まず電話「駄目! もう大丈夫だから」
救急車を呼ぼうとポケットの携帯が手に握られたその時、まるで見透かしているかの様に彼女は俺を静止した。「心配しないで 本当に・・・あたし・・病院は嫌なの・・・ごめんなさい」
「一応調べて貰っ!」
いきなり彼女に抱き着かれ俺は唇を奪われてしまった。
まじーっ?
この状況でまさかの急転直下の展開。
だが何かがおかしい。
胸騒ぎのような第六感とでも言うのか。
心の警報は俺を足止めしていた。
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