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事件までの経過を述べる前に、先に結果から伝えようと思う。
結果から言うと、白井梓がベッドのシーツの上で真っ赤に染まって横たわって倒れていた。ベッドの付近には刃渡り二十センチの真っ赤な包丁が捨てており、クローゼットなどを荒らされた様子が窺える。
しかしここからが問題であるのだ。白井梓の部屋は鍵が掛かっており、二階に位置していることから、窓からの侵入は不可能に近い。いや窓にも鍵が掛かっていたので、それは不可能ということだ。ということで『完全密室』である。
そして、『唯一マスターキーを持っていた涌井さんが第一発見者』であり、彼女の悲鳴を聞いて駆けつけた僕たち。僕とあんちゃんと有栖はたまたま外にいたため、二階まで上がる羽目になる。つまり、『この三人以外ロッジ内にいた』のは事実である。
そして急いで上がると、白井梓の部屋の前で佇む一同。みんな顔面蒼白の状態で言葉を失っていた。
中を覗くと前に述べたような白井梓の姿。そして、それに泣きつく林の姿。彼は「人殺しめ!」と叫びながら一同を中に入れるのを頑なに拒んでいた。
だいたいの事件のあらましはこのようなものである。これから先は僕こと宇津井登が事件の経過について語っていこうと思う。
この不可能密室犯罪の謎を解き明かすことが出来るかな?
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