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足をばたつかせ、目を飛び出さんばかりに見開き、正男は自分の口に無しゃぶりつくトモエの顔を両方の手で掴み必死で引き離そうともがくがトモエはさらに正男の両頬を挟む手に力を込め、自分の口を正男の口に押しつける。
「むー!むいぃぃ、むがぁぁ、ゴボゴボ」
正男の口とトモエの口の合わさった所から鮮血がゴボゴボと吹き出す。
ばたつかせていた足ががピーンと突っ張った様に爪先まで伸びきりピクピクと痙攣している。
トモエは顔をあげ上体を起こすと口の中に残っている物をごくりと飲込むと左手の甲で口元の血を拭って、こう言った
「コレガ ワタシノ キュウキョク ノ アイデゴザイマスワ ゴシュジンサマ」
窓の外に見えるデンキガイの景色は、いつの間にか火の手に覆われて、微かに微笑むトモエの顔を赤く照らしだしていた。
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