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好きになったきっかけは、些細な出来事だった。
剛が野球部に入部してきて間もない頃、経験のない剛に教えていた時。
「もう全身筋肉痛ですよ。力つけないと」
「細い腕してるもんなあ。こんなんで球打てるかぁ?」
と言いながら剛の腕を軽く握ったら。
「……!」
本当に細くて、手首とか強く握ったら折れちまうんじゃないかと思うくらいで…。
「…あの?」
「あっごめん!」
剛の声で我に返った俺は、パッと手を離した。
腕の感触がまだ右手に残っていて、思わずドキマギしてしまう。
「ぶ、部活やってれば力なんてすぐつくよ」
「本当ですか?早く先輩みたいになれるよう頑張ります!」
ニッコリ笑ったその顔を見て、
か、かわいい…!
と思ってしまったのだ。
先輩みたいになれるよう…
先輩みたいになりたい…
先輩と一緒になりたい…
おっと、やばいやばい。
幻聴まで聞こえてきたぜ。
俺は、一瞬で恋に落ちていた。
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