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野球部の部長になった俺は、部員から“キャプテン”と呼ばれるようになった。
最初は慣れないせいか、すぐ反応出来なかったけれど、次第にキャプテンという自覚も出てきた。
「あ、キャプテン!」
こ、このチャーミングで俺の心をくすぐる声は…!
「剛!」
思った通り、野球部後輩の童顔でなかなか身長の伸びない真辺剛!
「おはようございます!」
人懐っこい笑顔で挨拶してくる剛。
朝から会えるなんてラッキーかも。
「おう!相変わらずカワイーな!」
「なっ!?何がですか!?」
頭を両手でぐしゃぐしゃにしながらそう言うと、顔を赤くして声を上擦らせる。
たまらなく可愛い。
あー今すぐ抱きしめたい!
「もう、からかわないでくださいよ!」
俺の欲望をよそに、プイッとそっぽを向いて行ってしまいそうになる。
「あ、剛!」
「はい?」
もう行くのか?
…そんなこと言えるはずもなく。
「また部活でな」
と手を振った。
「はい!」
元気よく返事をして、剛は去っていった。
「………」
もう少し話していたかった。
お前の視界に、入っていたかった。
時々、溢れそうになる。
剛が好きだという、この気持ち。
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