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黒い空にかかる霧が明かりに照らされているのを、少女はぼんやり見ていた。
体中が痛い。
もう動けない。
人間に…負けた。
天使は回復が早いと聞いていたが、これだけ怪我すれば、そんな理屈で今の状況を打開出来そうにはなかった。
「もう終わりにするかね?」
目の前に黒い塊がある。
よく見れば男が少女を覗き込んでいた。
刀は収めてしまったようだ。
「…わ…私を殺したきゃ…殺したらいいよ」
少女は蚊の鳴くような声で言った。
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