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余りの剣幕に少女は目を見開いた。
悲しいのか怒っているのかよく解らない表情をしながら男は続ける。
「私達人間が悪いのは解っている…だが、簡単に死ぬだなんて言わないでくれ…」
少女には人間の思想が理解出来なかった。
あれだけ天使を殺そうと駆けずり回っている輩が、天使の自分に「死ぬな」などと言う。
挙げ句の果てには「悪いのは自分達だ」と懺悔(ザンゲ)する。
「あなた…軍人なのに…そんな事」
「助けられる者は助けたい。それだけだ」
男は静かにそう言った。
胸の勲章は天使を殺して得た名声の象徴ではないのか。
ならば何故自分を救おうとするのか。
少女は理解に苦しんだ。
「私は…復讐する為にここに来て…こんなに人間を殺して…それでも…私を助けようと…思うの?」
少女は男を見つめ、念を押すように言った。
男は数秒考えるような表情を見せた後、答える。
「そうだな…強いて言うなら一つだけ、条件がある」
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