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男は少女を見て言った。
「もし…私を殺そうと少しでも思えば…その時は命はないと思え」
男の目つきには冷たさの中に不安が隠(コモ)っているように思えた。
そして少女はあることに気がつく。
「あなたは…今まで会った天使にその条件を持ちかけて…」
「…」
それは図星のようだった。
男はきっと、この最後の慈悲を恵む機会を全ての天使に与えたのだ。
しかし、天使達はプライドか憎しみか、それを受け取る事はしなかった。
そして、その度に彼の勲章は増えていったのだろう。
男がそうしたのが正しいのかは解らない。
そして自分がどちらを選べば良いのかも。
そこで、少女は男に質問した。
「あなたに従うなら…私は助けて貰えた後…どうなるの?」
救われても捕虜になる位ならば今散ろう。
少女はそう考えていた。
しかし、男は表情を和らげて言った。
「望むのなら、お前さんを最期まで守ったご両親と同等…いやそれ以上に愛し、大切にしよう。お嬢さん」
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