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少女が目覚めたのは、翌日の夕方であった。
円形の窓から差す夕日の光の帯が少女を優しく包む。
少女は何処かの部屋のベッドに寝かされているのだ。
「…痛い…」
自らの怪我のことをすっかり忘れて起き上がろうとした為、体には激痛が走った。
しかし、怪我はしっかりと手当てされていた。
天使は治癒力が高いとは言われているが、治るのはまだ先のようにも思える。
ともかく、自分は今まともには動けない。
誰かが部屋に来るまでは大人しく寝ておくことにした。
傷の痛みは嫌な事を思い出させた。
両親はもういないし、自分は人間を数多く殺した。
そして、それ以上に忌まわしい事までも…
不思議ともう涙は出なかった。
部屋に西日が差し込まなくなった頃、少女の寝ている部屋のドアがノックされた。
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