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この世界では天使は災いの象徴。
災いの元を経てば世界は救われる。
それを盲目的に信じた人間は、根こそぎ殺してやろうと天使を血眼になって探す。
彼等が例え害を及ぼす存在でなくともだ。
彼女はそれを今は亡き家族から十分に聞いていた。
…辛い。
傷よりも、涙も出ない程の悲しみで胸が痛んだ。
一体これを何処へ向ければ私は解放されるのか。
ぐったりとうなだれた少女は苦しんだ。
…そうだ…
憎むべきは人間なのだ。
自分から全てを奪った奴等。
疎ましい存在ならば、消せばいい。
私は天使。
かつての神の使い。
力で人間に劣ることなどあろうか。
「…うああァぁあッッ!!!」
心の中の何かが切れた少女は声にならない声を上げる。
パァァァン!!
それまで当然のように彼女の体を縛り付けていた金属はいとも簡単に砕け散った。
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