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飛びたい。
またあの四角い光の向こうに。
いや、私は行かなくてはならないのだ。
誇り高き天使なのだから。
立派な翼があるのだから。
少女は体から溢れる不思議なまでのエネルギーを感じた。
今なら私は飛んでいける。
そして人間にこの苦しさをぶつけられる。
少女は、丁度明かり取りの四角い窓の下辺りに、そっと右手をかざした。
ガァァアンッッ!!
彼女の普段の力ではびくともしない分厚い石の壁は、一瞬にして崩れ落ちた。
ガラ…
白い光に包まれた少女は翼を広げ、飛び立った。
勿論行き先は決まっている。
後に残るのは、彼女の血に染まった幾つかの羽根だった。
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