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少女が飛び去って数十分。
彼女の閉じこめられていた要塞は大変なことになっていた。
まさか天使とはいえ、14、5歳の少女が逃げ出せるとは、誰もが思っていなかっただろう。
彼女は大勢の人間の中にいた。
それは不幸の始まりの光景と似ていた。
しかし、今度は少女は大勢の武器を持った人間を、その小さな手足で倒していく。
彼女の瞳は復讐に激しく燃えていた。
無心で敵を次々となぎ倒し、武器を取り上げては振り回す。
血が顔に付こうと気にもならなかった。
ザクッ!!!
気味の悪い音が響く。
少女が、剣を虫の息だった一人の人間に突き刺したのだ。
片足を乗せ、冷酷に肉の塊を見下す。
まだ…
まだ胸の奥が痛い。
どうか、どうか早く消えて欲しい。
表情とは裏腹に心が泣き叫んでいる。
それでも、人間は容赦なく自分に刃を向ける。
奴等は私を殺そうと躍起になって掛かって来る。
天使を殺せば英雄になれるから。
名声を得られるから。
ならば、真っ向からその野望を潰してやろうじゃないか。
欲望に溺れた人間など、敵ではない。
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