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私が引きこもるようになってから、両親は動揺して、小さないさかいが起きた。
「あなたが怜子の事を涼と比べて差別ばかりするから」
「お前が怜子に冷たいからじゃないか!」
どっちも当ってる。
涼は姉の私なんかと違って天真爛漫で誰からも好かれる。私とは真逆だ。
気難しい私はいつだって"わがまま"で"ちっとも言うことをきかない"子で、"あんたなんか生んで損した"と思われてるんだから。
その私が母の母校でもあるセント白百合女学院に入学が決まった時、両親はとても喜んでくれた。
「これで私もご近所に鼻が高いわ。白百合の制服を着せて送り出せるんだもの、恥をかかなくていいのよ。」
…………………
私あんたのために白百合を受けたんじゃないわ。
ココロの中でそう言うと、体の真ん中から何かが膨らんで胸が苦しくなった。
胃が痛い…
合格者説明会で寒い体育館に似たような済まし顔の学生ばかりがいるのを見てゾッとした…
浮かれる母親に付いて学用品や制服を購入する時も自分のことなんだとは思えなかった。
入学式前から出された宿題の冊子を前に、進学する喜びなんて微塵も感じない。ああ逃げちゃいたい、ただそれだけ。
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