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はじめは単に、この不思議な生き物への興味に過ぎなかったのだ。
そう、はじめは。
しかし。それはいつのまにか違う何かへと僕の中で変わり始めていた…。
サクヤと暮らし初めて一ヵ月が過ぎた。
あれ以来、サクヤは日に日に『成長』している。
始めて会ったときはまだ2.3歳だった彼は、今では人間にして10歳くらいにといったところだろうか。
そしてもちろん、背中の羽もかなり大きくなっている。
しかしそれはそれ。僕たちはちょっと変わってはいるが、それでも平和に暮らしていたのだが…。
異変は突然やってきた。
その日も、いつものようにサクヤは僕のそばで眠っていた…筈だったのだが僕がふと目を覚ますと、いるはずの所に彼はいなかった。
「サクヤ…?トイレかな…」
そのうち戻ってくるだろう、と僕が再び布団に戻ろうとしたとき、リビングでカタンと物音がし、続いてなにやら小さなうめき声の様なものが聞こえてきた。
(サクヤ?!)
突如言い様のない不安にかられた僕は、ベッドから飛び降りてリビングに駆け込んだ。
そこで僕が見たものは。
ソファに俯せになって苦しげに呻いているサクヤの姿だった。
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