奇妙な二人暮し

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 しばらく待っても、彼は一向に起きてこないので僕は先に食事を済ませることにした。 食事がすっかり終わるころ、寝室のドアが開いて彼が顔を覗かせた。 「おはよぅ」 「……」 「朝ご飯食べる?パンと目玉焼きだけど…」 「……」 彼は、何を言われているのか解っていないかのように黙ったままただ僕を見ていた。 「君、もしかして話せないの?」 「……」 「困ったなぁ。名前は?」 「……サクヤ」 「サクヤ?良かった。一応喋れるんだね。ね、サクヤパン食べる?」 サクヤ、と名乗った彼は僕の問い掛けに大きく頭を振った。 「じゃあ何食べる?」 「りんご」 「え…それだけでいいの?サクヤ?」 「あとミルク。ほかはいらない。」 手間が掛からないなと思いながら、僕は冷蔵庫の中にあった牛乳とりんごを出してやった。 サクヤは顔に満面の笑みを浮かべて美味しそうに食べ始めた。 「ねぇサクヤ。サクヤは…どこから来たの?」 「うっ?」 彼はりんごを頬張りながら首を傾げた。 僕はもう一度聞きなおした。 「サクヤはどこから来たの?どこに住んでるの?」
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