ゼンマイ女

出逢い

？｢ハァ……ハァ……｣

俺の名前は金田一幸太郎(ｷﾝﾀﾞｲﾁ　ｺｳﾀﾛｳ)。皆からは普通に『幸太郎』と呼ばれている(一部の人には金太と呼ばれるが――正直、どうかと思う)。

『金田一』とかいう名字だから、始めは周りの人に推理とか得意なんじゃないかとか、変な第一印象を持たれていたが――残念ながら、俺にはそんな特技はない。せいぜい妄想どまりだ。

そして、高校生活は瞬く間に過ぎ去り、ついに最後の年となってしまった。

今日は清々しい朝で、太陽が雲一つない空を独占している。

そんな空の下、俺はジョギングをして気持ちのいい汗をかいている――わけもなく、実を言うと、遅刻寸前で冷や汗を垂らしながらのジョギングが正解だ。