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『それじゃ、家に戻ろうか』
帰路では他愛のない話ばかりであった。
魔術、五大元素、世界の抑制などなど、魔術士について、世界の裏側の話ばかり。が、不思議につまらなくはなかった。
――そして、薄暗く光る街灯の道路は直線と左側に別れる。
『それじゃ、アタシはこっちだから』
『ああ、わかった。ありがとうな。正直助かった。』
『―――』
あ、遠坂がブスッとした顔でこちらを睨んでる。
『?どうした遠坂』
『ハァ…お人好しもここまで来ると怒りを通り越して呆れるわ…あのね衛宮君、私は敵になるかもしれないのよ?そんな相手にありがとうなんて、気が触れてるわ』
いや…それを言うなら遠坂だって人の事言えないじゃないのかな?
『そうか?俺は、できれば遠坂とは戦いたくない。俺、お前みたいな奴、好きだ。』
あ――今、頭がボンッて鳴った。
『あ―、あっあんたね…よ、よくもまぁそんな歯に着せぬ言葉が平気で言えるわね…』
『そうか?』
遠坂もよくもまぁ、俺にあんな大声で俺を罵声したもんだ。
『そもそもあんたねぇ――!ッ!』
遠坂の顔つきが険しくなる。
『アーチャー!!!』
赤い弓兵がその実体を表す。遠坂と同じく、アーチャーの顔つきも一層険しくなっていた。
それもそうだろう。何故ならば…
《――あれ?もうお話は終わり?》
鈴のような、微かな声を耳が捕らえる。振り向くとそこには――
一人の紫を基調とした服を纏う白い髪の少女と
その子の何十倍もの大きさを誇る灰色の肌の巨人。
その顔から爛々と紅い眼が光っていた。
『くっ――バーサーカーのサーヴァント!』
遠坂の顔はニガムシを潰したかのような表情をしている。
その少女は、見た感じに儚く感じられた。髪の毛は白く、その目は紅いルビーのようであった。
しかし、紫を基調とするダッフルコートなのになぜ白い少女かと思ったかと言うと……
その子の髪の毛が、雪のように白く綺麗だったからだ。
『――お初にお目にかかますわ、冬木の管理者。イリヤスフィール・フォン・アインツベルン、と言えばわかるかしら。?』
『―ッ!アインツベルン!』
『遠坂、何か知ってるのか』
『知ってるも何も、名門の出よ。しかも聖杯のシステムの基盤を作り出した一族の子孫よ!』
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