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光が静まり、俺を襲う脅威からかばってくれた人の顔がゆっくりと月の光に照らし出される
『貴方が私のマスターですか。』
背は俺より小さいだろう。
流れるように腰まである砂金の髪。麟とした深い緑色の眼。まだ幼さを残す清楚な顔立ち。
それとは裏腹に首から足にかけて着用した鉄の甲冑。
そして竜手の先にある握られた刃渡り約90の装飾のある黄金のロングソード
その姿は、まったくと言っていいほどに似つかわしくない背格好であった
『ま、マスター?』
『――話は後です。ランサーが来ます』
颯爽と外に出る甲冑の少女。
『あっ、ちょっと待て!』
そして急いで外にでれば…
『くっ!』
視界が一気に光に奪われる。眼を凝らしてみればそれは激しく散らす火花であった。目の前で信じられない光景があった。槍と剣の衝突した時に生じる激しい火花。二人から発する激しい土煙に剣風と槍風。そして、肉眼では捕えきれない程の振りの速さ。
『…な、なんだこれ』
今、俺は何を観ているのかわからなくなった
先ほど火花と思っていたものは普通の火花であり、あまりに激しいその輝きはぶつかりあうエーテル風ゆえであった。
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