プロローグ

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十合、二十合、三十合と打ち合う。その時間、合わせて数十秒。たった数十秒であの激しい攻防を繰り広げていた。 未熟な俺にもどのくらいふざけたものかもわかっている。纏う異常な魔力。霊長類の中でもそこにたどり着くことができるかすら難しい強さ。そんなふざけたやつらの戦い ――故に何の気が狂ったのか―― ―今、衛宮士郎は― ―そんな戦いが美しいと思えた― 何度も打ち続ける槍と剣 その姿は引くということを知らない…が槍を持った蒼兵から手を引く 『―解せねぇ…そんな腕でセイバーだと?貴様、いつまで手を抜いているつもりだ』 少女はニヤリと口端をつり上げる 『―そう思うのであれば本気を出させるんだな。最も手を抜いているのはお互い様じゃないのか?ランサー』 構える蒼兵。 『ふっ。ほざけ、狸が』 構える金髪の剣士。そして時が止まる…が構えを突然止める蒼兵。 『―――と、交えるにはもう時間がない。内のマスターは臆病でね。帰ってこいだってさ』 『…ほう?』 『それで、だ。両者ここで引くってのはどうだ。お互い本調子で出来そうにないしな』 一瞬、眼を鋭くする少女。 『……いいだろう。今は満足に出来なさそうだからな』 『お前が話せる奴でよかったぜ』 『得物を引いた者に剣構えるという教育はされていないのでな』 『…へ、いいとこ育ちが。』 飛び去る蒼兵。そして去り際に 『これは杞憂だが…追いかけてくるのならば……』 ―覚悟しておけ― と目が訴える それに対し少女は… 『それならばこっちにもいいたいこともあるのだが…』 『…あ?』 『私は貴族出ではない。名も知れぬ村の出だ。貴様の思ういいとこの出ではない』 『…あんた面白いな』 そうして、蒼兵が去ることにより争いは幕を閉じた。 正に、台風がさった後と言うべきか…まあ怪我などがなくてよかった… 『…じゃなくて、お前!いったい何者なんだ!いきなり現れて戦ったりしてたけど、危ないじゃないかっ!』 『………』 『こっちも冷々しててみれたもんじゃなかったよ!…おい聞いてるか?』 『――ふぇっ』 と、突然涙ぐむ少女 その瞳には涙がたまっている。 『…えっ?』 『―ふっ、ふぇえええんっ!』 と、派手に泣き叫ぶ少女 『え!え!えぇ!』 『わ、えぐ、私だって必死だったんだから!もう恐くて堪らないのに、でもマスターがいなくなったら…』
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