侵蝕され始める日常

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『なぁああああんであんたが最優のサーヴァントのセイバーを召喚してんのよー!このスカァポンタァアン!!』 耳が!いま耳がキーンとした!やばい!やばいって! 鼓膜!鼓膜がやぶれる! 『ぜぇ…ぜぇ…はぁはぁ』 と激しく肩で息をする遠坂。 それを裏目に、台所で泣いてるアーチャー。あ、地面に『の』の字を書き始めたよ…合掌 漢は背中で悲しみを語り始めたのだった。 そして、数分後… 『それじゃ、行きましょうか』 と言って立ち上がる。 耳の中にはまだスカポンタンの言葉が木霊してやがる。 『こんな時間に一体何処に行くんだ、遠坂』 『丘の上にある教会よ。一応この聖杯戦争の監督に挨拶をね。元々行く気はなかったんだけど、あんたのサーヴァントが殺られたあとに、あんたを保護してくれる所に挨拶をしとかないと…』 面倒な時に保険をかけるようなものよ、と最後に付け足す。 それならば仕方ないか… 魔術士の遠坂が言うんだ。間違いはないのだろう。 『そっか…それじゃ行こうか』 と言って玄関に向かおうとしたが、 『―待ちなさい。あんたはさっきの話を聞いてないの?』 いや、違うが――と先のようにランサーに襲われたら元も子ない… 『護衛にセイバーを連れていきなさいよ。』 『大丈夫、自分自身くらい守れるよ。』 『へぇ…さっきもう少しで殺されかけた奴の台詞とは思えないわね。このヘッポコ』 私ならもっとうまく立ち回れるわ、と付け足して。 『―――確かに』 確かに俺は先程、本気で殺されかけた。 自分がエタイの知れない奴に、ただ見られたと言う理由だけで殺されるなんて馬鹿げてる。これはもう否応なしに自分を守るモノが必要になる。 もう―― 理不尽な死に方なんてまっぴらだ。 それが自分自身であろうと。 と、そこに 『あ、あの、マスター』 といきなり縮こまった甲冑の少女がこちらに寄って来る。両手の人差し指を絡ませながら。 …しかも上目使いで。 『ん…?あ、ああ、どうした…そ、そのセイバーさん』 正直、ついさっきまで忘れてた。なんで忘れてたかなんて、作者の意図なのか、それとも本気で忘れてたのか。 『よ、呼び捨てでかまいません。せ、セイバーでいいです。あの私も連れていってくださいませんか?その教会に。』 これは嬉しいことだ。 セイバー自身から俺を護衛する、と言っているようなもの。
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