394人が本棚に入れています
本棚に追加
『なぁああああんであんたが最優のサーヴァントのセイバーを召喚してんのよー!このスカァポンタァアン!!』
耳が!いま耳がキーンとした!やばい!やばいって!
鼓膜!鼓膜がやぶれる!
『ぜぇ…ぜぇ…はぁはぁ』
と激しく肩で息をする遠坂。
それを裏目に、台所で泣いてるアーチャー。あ、地面に『の』の字を書き始めたよ…合掌
漢は背中で悲しみを語り始めたのだった。
そして、数分後…
『それじゃ、行きましょうか』
と言って立ち上がる。
耳の中にはまだスカポンタンの言葉が木霊してやがる。
『こんな時間に一体何処に行くんだ、遠坂』
『丘の上にある教会よ。一応この聖杯戦争の監督に挨拶をね。元々行く気はなかったんだけど、あんたのサーヴァントが殺られたあとに、あんたを保護してくれる所に挨拶をしとかないと…』
面倒な時に保険をかけるようなものよ、と最後に付け足す。
それならば仕方ないか…
魔術士の遠坂が言うんだ。間違いはないのだろう。
『そっか…それじゃ行こうか』
と言って玄関に向かおうとしたが、
『―待ちなさい。あんたはさっきの話を聞いてないの?』
いや、違うが――と先のようにランサーに襲われたら元も子ない…
『護衛にセイバーを連れていきなさいよ。』
『大丈夫、自分自身くらい守れるよ。』
『へぇ…さっきもう少しで殺されかけた奴の台詞とは思えないわね。このヘッポコ』
私ならもっとうまく立ち回れるわ、と付け足して。
『―――確かに』
確かに俺は先程、本気で殺されかけた。
自分がエタイの知れない奴に、ただ見られたと言う理由だけで殺されるなんて馬鹿げてる。これはもう否応なしに自分を守るモノが必要になる。
もう――
理不尽な死に方なんてまっぴらだ。
それが自分自身であろうと。
と、そこに
『あ、あの、マスター』
といきなり縮こまった甲冑の少女がこちらに寄って来る。両手の人差し指を絡ませながら。
…しかも上目使いで。
『ん…?あ、ああ、どうした…そ、そのセイバーさん』
正直、ついさっきまで忘れてた。なんで忘れてたかなんて、作者の意図なのか、それとも本気で忘れてたのか。
『よ、呼び捨てでかまいません。せ、セイバーでいいです。あの私も連れていってくださいませんか?その教会に。』
これは嬉しいことだ。
セイバー自身から俺を護衛する、と言っているようなもの。
最初のコメントを投稿しよう!