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2112年
クローン技術が飛躍的に発展し、今や当たり前の時代。
その技術は、犬や猫、競争馬などの動物に使う事はできるが、人間に使う事は世界で禁止されている。
それは、人間の価値を著しく下げる事になるからだ。
しかし中には、クローン技術自体邪道なものと訴え、廃止運動をしている者も少なくない。
河野衛 27歳は、そんな事とは無関係にいつもとかわらない日常を過ごしていた。
太陽が少し沈みかけたてきた頃、河野は安月給の仕事から解放され、自宅があるボロアパート
亀井
に戻ってきたところだった。
亀井は二階建てで、全部で6号室あり、一階は1~3号室、二階が4~6号室になっている。
河野の部屋は5号室、二階になる。
ギシギシ
河野が階段を上る度に鉄製の階段は悲鳴をあげる。
パキッ
「うおぉぉーっ!?」
何かが折れた様な音を聞いた瞬間、河野は手すりにしがみついた。
「…」
幸い階段は壊れなかった。
いや、もう既に壊れているのかもしれない。
家賃が安いだけある。
改めて河野は痛感させられたのであった。
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