memories_1

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  しばらく走って、学院前に到着した二人。 遠くからでも目立ちまくっていたが、近くでみるとますます巨大な城である。   とても百年以上の歴史があるとは思えないほど、その外見は美しく整えられていた。    "メレイサ魔法学院"の文字が掲げられた両開きの門の前で、アリシアはミレの服を整えながら言う。   「それじゃ、まっすぐ行ってスグの一番おっきな部屋が試験会場だから。 頑張りなさい!」   「わかった。」   「あ、ちょっと!」   淡々と答えてスタスタと門をくぐろうとするミレを呼び止めるアリシア。   「…なんだ?」   「頼みごとひとつ。」   それを聞いてミレは怪訝な表情を浮べた。 今朝のゲームで敗北したため、無条件で言う事を聞かねばならない。     そんなミレから視線を外し、アリシアは少し恥ずかしそうに小さく言った。   「…一緒に学院に通うこと。」   予想よりも遥かに簡単な内容に、ミレは表情には出さないものの内心安堵した。   最も、それを達成するには特待合格することが必須となるのだが。     ミレは無言で小さく頷くと、アリシアに背を向けて学内へ入って行った。       (さてっと…買い物買い物…)   見送った後、アリシアは再び商店が並ぶ方向へと足を向ける。   新入生の選抜期間中、在学生は休みとなるため学校へ通う必要が無い。   だが街に出るとあって、シャノンに日用品の買い出しを頼まれたのだった。     「えっと…まずはチーズと…」   片手に持ったメモを見ながら、アリシアは買い物を始めた。
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