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(…多いな。)
無事試験会場に入ることができたミレは、人の多さに早くも嫌気がさしていた。
頑丈そうな石造りの床と壁からなる大きな部屋には、木製の長机と長椅子が規則的に並べられ、そこが学びの場であることを実感させる。
その椅子いっぱいに人が座り、さらに座れなかった者達は空いたスペースに立っている始末。
見た所、ゆうに200人は越えている。
学院の入学試験は自薦・他薦問わず魔力の素養が見込まれる者が受験し、その中から選りすぐりの100名ほどが通うことができる。
学費が高額なため、生徒のほとんどは貴族が占めるが。
試験は期間中10日のうち好きな日に受けらる。
よって、単純に考えて100人の枠に2000人が殺到したことになる。
大層な競争率だ。
ミレが眠たそうに欠伸を噛み殺していると、背後の木扉から白髪の老婆と若い男女が部屋に入り、直後扉がバタンと閉じられた。
本当に時間ギリギリだったらしい。
老婆は学院の紋章が入った灰のローブをなびかせながら、教壇に向かって颯爽と歩く。
同じ格好をした男女もそれに追随する。
その存在に気付くと、入学希望者達はざわつきはじめた。
ミレは落ち着いて…もとい眠そうにその様子を伺っている。
老婆と男女は教壇に上がると集まった子供達の方を向き直り、三人の中央に立つ老婆が口を開いた。
「ようこそ皆さん、メレイサ魔法学院へ。
お集まり頂きありがとうございます。」
話が始まったことで、会場内は静まり返る。
老婆は一呼吸置くと、再び場内に声を響かせた。
「それでは早速ですが、新入学生選抜試験を開始致します。」
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