memories_1

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    ―メレイサ魔法学院・正門前―   少女はだんだんと低くなってゆく日差しに、その特長的な金髪を煌めかせながら門の外で待っていた。   予想より多くなってしまった買い物を革袋に入れて胸の前で抱き締めるようにして持ち、きょろきょろと見知った少年の姿を探す。     全開まで解放された門からは次々と受験を終えた子供達が出て来る。 その表情はにこやかなもの、落ち込んだもの様々だが…     アリシアはその中に、ようやくミレの姿を見つけた。   やはり人込みの中にあっても目立ちまくる銀髪。 周囲の者と違って、表情からは結果の如何が見てとれない。 まったくいつも通りである。     「ミレ!こっち!」   アリシアは荷物を片手で持ち、右手を高々とあげた。   それを見て、ミレが人の流れに乗りつつ近付いてくる。   無事合流すると、アリシアは待ち切れないといった様子で尋ねた。   「どうだった?」   「入学式には時間に余裕を持って来い…と言われた。」   試験の手応えを聞いたつもりだったのだが、返ってきた予想外の答えにぽかんとする。     「え?合否発表って来週じゃないの?」   「知らん。そう言われただけだ。」   通常、試験結果は10日分の受験生のものを総合して、一定以上の結果を残した者のうち上位から選抜していくため、その場で直接合否に関わることを伝えるはずは無いのだが…。     「ま、いっか。帰ろ!」   どちらにせよ来週になればわかることなので深く考えず、アリシアは踵を返して帰路に立った。   が、後ろからガシッと肩を掴まれたことにより歩きだそうとした足が止まる。   直後に抱えていた荷物が奪われ、それまでかかっていた負荷から解放された腕が非常に軽くなった。     「…僕が持つ。」   隣には、荷物を抱えたミレ。   「…ん。」   アリシアはにっこり笑うと、機嫌良さげに歩き出した。   その横を同じ速度でミレも歩く。     二人の影は夕日に変わってゆく太陽に照らされて、石畳にまっすぐ映し出されていた。
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