memories_1

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  ―学院内・会議室―   「驚きましたね、今期の子供達には…」   学院の紋章が入った職員用ローブを纏った男性が呟く。   広々とした会議室にはひと繋がりの巨大なテーブルが置かれ、それを囲むようにして数十人の男女が椅子に腰掛けている。   全員が学院の職員で、皆一様に灰色のローブを羽織っていた。     「第113期…間違いなく、歴代で最強の世代となるでしょうね。」   「黄金期…か。だが、それ故により大きな危険が伴う。」   「昨年と言い、今年と言い… まだまだ心労はかさみそうですな。」     そんな話をしていると、それまでずっと黙っていた白髪の老婆が口を開いた。   「細心の注意を払って頂きたいのは、銀髪の少年… ミレ・ヴァイナールです。 昨年度現れたクロノス家の末裔にも驚きましたが、この少年の魔力はそれをも遥かに凌駕しています。 恐らくさほど時間を置かずして強力な魔法を覚えるでしょう。」   その言葉に、口髭を生やした男がフッと笑った。   「英雄と大罪者は紙一重とは良く言ったものですな、学長。」     「それを正しき道へ導く為、我々はいるのです。」   老婆が強くそう言うと、教員達は決意をにじませて頷いた。      「では続けましょう。 まず、初日の受験生ですが―」   …その後も、合格者を決定する会議は慎重に続けられた。
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