memories_1

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鍛練の後、三人は少し遅めの夕食をとっていた。   「だからよ、お前らはわかりやす過ぎるんだって。」   料理を口に運びながら、シャノンが言う。   その前には大分ぐったりしたミレとアリシアが座っている。     「まずミレは強引すぎ。 身体能力に頼りすぎだから攻撃読まれるんだ。」   「…むぅ」   ミレも何か言い返したいが、コテンパンに負けたため何も言えない。 かわりに小さく唸り声をあげた。     「で、アリシアは大体いいんだけどな。 ミレが掴まった瞬間、攻撃が直線的になるんだお前は。 焦って攻撃するから簡単に見切られる。」   「…むむむ…」   アリシアも頬を膨らませて、同じように唸り声をあげた。   実際シャノンの言う通りで、先にミレが掴まったりするといつもアリシアは急いでそれを助けようとする。 そしてそのままやられてしまうのだ。   大体お決まりとなった負けのパターンである。     「ぐぅ!!」   「…。」   料理を前にして唸るアリシアと、仏頂面で黙り込むミレ。    そんな変わらない二人の様子が愛しくて、シャノンはフフッと笑みをこぼす。   「ま、二人とももう基本は言う事無ぇよ。 その年でそんだけできりゃ充分だ。」   「でもやっぱシスターに勝ちたいよ!」   アリシアもニコッと笑うと、大きく言い放った。   「ね、ミレ!」   「…………スゥ」   「なんでこのタイミングで寝るかな!?」   「あっはっはっはっ!!」     カクカクと頭を揺らすミレに、怒り出すアリシア。 爆笑するシャノンと、まるでそこには本物の家族のような暖かい空気が満ちていた。     燭台に置かれた蝋燭の火が揺らめいた。 夜は深くなってゆく…
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