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その後も二人は息を切らせながら、さらに攻防を繰り返していた。
(っていうかミレ!
なんでアンタ普通についてこれるの!)
小さい頃から知っているものの、ミレの身体能力に改めて息を巻く。
アリシアはまだ12歳(今年で13)だが、昔からかなりのレベルで魔力による肉体強化が扱えるので、それにより飛躍的に高めた身体能力で超速走行、戦闘を行なっているのだが…
まだ魔力のコントロールを上手くできないミレは生身。
強化無しでアリシアについて来ていた。
拮抗した攻防は、みるみる二人の体力を奪ってゆく。
(このままじゃマズいよね…
う~ん…
…仕方ない、あの手で行こう。)
何やらアリシアが怪しげな決意をした後も、二人は組み手を続ける。
刹那、アリシアはミレの裏拳を捌ききれずに体勢を崩した。
ガラ空きになった顔面に、寸止めをするつもりで拳を放ったミレだったが…
「…なぐるの?」
瞳を潤ませたアリシアに、ピクッと一瞬動きが止まる。
「スキありぃぃぃ!!」
その瞬間目をキラリと輝かせたアリシアは、ミレの足を思い切り払った。
超速で走っていただけにその勢いは凄まじく、頭から地面に突っ込みそうになる。
だがミレはギリギリで片手を地面につくと、側転の要領で体を一回転させた…のだが。
再び頭が上に来た時、ミレの目の前にあったのは大きく道にはみ出した太い木の枝。
―ゴンッ!!!―
―ザァァァァァ…―
「………ッ!」
慣性の法則により勢いそのままに額を強打し、うずくまるミレ。
枝についていた木の葉が辺りに散らばる。
このあたりは道が悪いため、このように木がはみ出した所が多々あるのだ。
アリシアはそれを計算に入れてミレに足をかけたのだった。
「あはは!シスター直伝、必殺"女の武器"!
今朝のお返しよ!」
アリシアは額を押さえてうずくまったミレを一笑いすると、すぐさま駆け出し先に行ってしまった。
「…ヤロウ。」
ミレも急いで立ち上がると、おでこを真っ赤にさせながらも全力疾走で追いかけて行った。
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