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松井は不満であった。
理由は自分の前にも横にも女の子が居ないからである。
『池田!席替わってや』
松井は池田に頭を下げた。
『嫌じゃ!』
清水の横をキープした池田が譲るはずがない。
『替われって!』
松井の口調が命令に変わった。
『何でオレの席がいいねん』
『簡単な話横も隣も男でむさ苦しいんですわ』
『じゃあ梅垣に頼んでもええやんけ』
池田は当然の言葉を言った。
しかし…
『池田!…自分は何もわかってませんな』
松井は意味ありげに呟いた。
『何がわかってないねん?』
『要するにドラゴンボールで例えるならオレがベジータとすれば梅垣はヤムチャでオマエがウーロンって事ですわ』
よく解らない例えではあるが池田はバカにされている事だけは気が付いた。
『オマエ…ケンカ売ってるの?』
池田の表情は変わり険悪なムードになりかけた。
しかし…
『ハッハ!ハッハ』
今まで全く目立たなかった宮川がバカ笑いをした。
『どうしたん?』
いきなりのバカ笑いに驚いた坂本が宮川に言った。
『だって…面白いやん』
『何が?』
『ウーロンやで!…池田君ってスケベなんやと思って』
宮川はそう言うとまた笑い出した。
当の池田もここまで笑われると怒る気も失せて、その場の空気は険悪にならずに済んだのであった。
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