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梅垣は噂のかわいい子がしっかり確認出来る5Mの所で足を止めた。
しかし品出し作業の為うつ向いて居てよく顔が見えない。
『どないですか?』
必死で顔を見ようとする梅垣に追い付いた松井が声を掛けた。
『ようここからは見えへんな』
『そうですな』
『ただ小柄で細身ってのは解るけど』
『顔もなかなかのもんですわ』
『へぇ~』
『じゃあ行っときますか?』
『どこに?』
『清水ちゃんの所ですわ』
『清水ちゃん?』
梅垣が首を傾げるていると松井は新人の女の子の方に歩いて行き声を掛けた。
『どーも』
『えっ…と…』
『朝声掛けた松井ですわ』
『はい。…で?私に何か用ですか?』
新人の清水は明らかに松井を警戒したモノ言いだった。
『別に大した事ではないですわ』
『それで用件は?』
『当ててみてください。』
『はぁ?』
『ヒント欲しいですか?』
『てか仕事中なんですが…』
清水は困り果てていた。
『まあいいですわ。実は紹介したい奴居るんですわ』
『誰です?』
『冷凍食品担当の梅垣ですわ』
松井はそう言うと梅垣に手招きをして呼んだ。
梅垣からすれば最悪の登場である。
しかし無視する訳にもいかないので清水の前に立つと
『冷凍食品担当の梅垣です。よろしくね』
当たり障りのない自己紹介をした。
ちなみにこの時の梅垣の清水評は
(幼い顔だが一重の自分好みではない昔のデビューしたての頃のスピード島袋寛子似)
だった。
しかし松井はこの後も梅垣の存在を忘れて清水に対してマシンガンのように話し続けたのであった。
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