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池田が清水が気になり出してから1ヶ月が経った。
彼と清水の関係はまだすれ違って挨拶する程度の仲で全く進展はしていなかった。
今日は3月25日。
5日前に梅垣達3人が所属するデイリー部門からバイトが4人辞めた関係で今日は新しいバイトが入る日になっていた。
こういう情報にはハイエナ並の情報収集能力のある松井からの情報により今日入るのは若い男女各2人づつと梅垣は聞かされていたので楽しみにしていた。
ちなみにおまけで彼等の上司であるマネージャーも今日からである。
午前7時…
梅垣はいつもの様に品出しする冷凍食品の箱をばら蒔く作業をしていた。
すると…
『選手!選手!梅垣選手!』
耳につくオッサンの声が梅垣の耳に入った。
『誰っすか?』
梅垣はオッサンを見て最強に機嫌悪く反応した。
『君!上司には敬語でないと困るよ!』
『上司!…ですか?』
『今日からデイリーの主任になった藤原久則です』
『どうも…梅垣です。』
『まあ後で自己紹介はするからいいけど…ところで君はもう店来て1年なんだって?』
『はい。』
『じゃあ今日から入るバイトの子に仕事教えてくれない?』
藤原のこの申し出に梅垣は心の中でガッツポーズをした。
理由言うまでもなく新入りの女の子と喋れると思ったからである。
しかし…
『西村選手!』
藤原が手招きで呼んだ選手こと新入りのバイトは男であった。
『先輩よろしくお願いします。』
律儀に挨拶する新入り西村にガッカリ感を隠せない梅垣は『ああ』と言うだけであった。
『先輩…オレの事覚えてません?』
なぜか西村はまだ梅垣に問いかけた。
『誰?』
『ほら!中学で1コ下やった…』
『…』
梅垣は頭を過去にタイムスリップさせて考えた。
そして…
『あぁ~5丁目の西村か!』
ようやく自分の後輩という事に気付いたがやはりテンションの上がらない梅垣であった。
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