新入りパート2

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歓迎会の場所はスーパー2階にある専門店の喫茶店となった。 『じゃあ…みんなでこれから仲良くいこう!』 大島の一言の短い挨拶だけで歓迎会は始まった。 実の所ただのおばちゃん井戸端会議の口実だけの歓迎会である。 『やっぱこういう展開か…』 若い女の子にはモテないがおばちゃんにはモテる池田がつぶやいた。 『やっぱ歳上キラー池田君!おばちゃんの気持ちが分かるんやね』 梅垣の突っ込みがすぐさま入った。 『どうせオレは友達、いい人止まりの男じゃ!』 『すねるなや』 『何余裕こいてるねん!』 『何がでや』 『オマエは彼女おらん上におばちゃん受けもよくないくせに』 『ほっとけ!』 梅垣、池田はいつもの様に虚しいやりとりをしていた。 するとここで梅垣のテーブルの正面の席に座って居る坂本が声を掛けて来た。 『梅垣さんて今彼女居ないんですか?』 『エッ?』 すっかり池田とのやりとりに夢中になっていた梅垣が坂本を見た。 『だから…彼女居ないんですか?』 『…ぶっちゃけもう半年おらん』 『へぇ~(笑)』 坂本はうっすらと笑みを浮かべた。 『坂本さん、また何でそんな事聞くの?』 ここで会話に入って来たのはなぜかこの歓迎会の主催者大島であった。 『エッ?』 なぜか坂本は言葉をつまらせた。 『もしかして…』 大島は意味ありげに笑った。 『だから違いますよぉ』 坂本の顔は紅くなった。 『梅ちゃん…よかったやん』 坂本の表情を見て大島のターゲットは梅垣に変わった。 『何がです?』 梅垣はキョトンとした顔で大島を見た。 『アンタ…そんな事このおばちゃんに言わせるの?』 『だから何がです?』 梅垣は鈍感であった。 『この子…ホンマにわかってないわ…』 大島は呆れ顔になった。 だがまだ梅垣は気付かない。 結局鈍感な梅垣のせいでこの日何の進展もなく歓迎会は終わったのであった。
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