第2章 ナルテイヤの森

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ウォーオー! またしても遠吠えが聞こえた。 「~」 デンタはもはや言葉を失って一歩も動けなくなった。 オオカミは微動だにしないが、完全な威圧感をほこっている。 デンタはもう終わりだと思った。 「ごめん…父さん…」 デンタがそう言うと、木々の隙間から月の光が差し込んで、オオカミを照らした。 「へっ!?」 デンタは目を丸くした。 デンタがオオカミだと思っていたそれは、オオカミの形をした石像だった。 「な、そういうことか~」 デンタは座り込んでしまった。 オオカミの石像はよく見るとかなり荒削りだった。多分、風にすごく長い時間ふかれて、今のような形になったのだろう。遠吠えの正体は風の音だったようだ。 「しっかし、世の中こんなデカイ石もあるんだなぁ。しかも、風でオオカミの形になったんだろうな…ん?…そうか!」 いきなり、デンタは我に返ってエレキ・ストーンを握りしめた。 「そうか…もしかして…」 そうつぶやくと、静かに目を閉じ、耳をすました。 ヒューヒューと風の音だけが聞こえる。 「自然に身を任せるっていうのは、つまり自然に逆らないということか…」 すると突然、風がピタリとやんだ。 「来る…」 デンタは身構えた。 次の瞬間! ビュオッ! いきなり突風が吹いた。デンタはそれを見逃さなかった。 『サンダァーッ!!』 デンタがエレキ・ストーンを振ると、いままでまったく出なかった雷が出てきた! 「よっしゃっ!」 デンタは思わずガッツポーズをした。 出てきた雷は威力・スピードはエンゾウには劣るもののなかなかのものだった。 デンタの放った雷は風にのり、まぶしく輝きながらオオカミの石像に当たって消えた。
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