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「お、おぅ! ただ1日休ませてくれ。 さすがに今日はくたくただ…」
「そう…じゃあ、明日でいいわ」
そうこう会話がなされている間にウエレストが見えてきた。日は沈みかけでウエレストの町を赤く照らしている。
デンタはナルテイヤの森と歩いた距離がたいしてあまり変わらないような気がした。
(何があの森より狭いんだよ。)
「アンタ、寝床は?」
ウエレストの町に着くとミズミが聞いてきた。
「いや、決めてねぇけど…」
デンタは町を眺めながら答えた。
砂漠にある町にしては人が多く、店もたくさんある。地面はレンガで敷き詰められていた。
「なら、私が泊まってる家に来るといいよ」
「泊まってる? 住んでいるじゃなくてか?」
デンタが不思議そうに聞いた。
「うん。私は旅の途中にお金が無くなったから、砂漠での人命救助のアルバイトをやってたの。その間、ずっと宿に泊まってたら貯まるものも貯まらないからね。そこで、ミレスおばさんって人に頼んで泊めてもらってるの」
「じゃあ、俺が行ったら余計迷惑じゃん」
デンタが言うと、ミズミはにっこりして答えた。
「だいじょーぶ! ミレスおばさんはすごく優しいからさ」
デンタは、そんな優しい人を紹介してくれるミズミも優しいんだなと少し思った。
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