エピローグ

3/8
前へ
/62ページ
次へ
 人知れず空を舞い、蝙蝠のように器用に華麗に飛ぶ杏と違い人の目、特に白い目を向けられ普通の人間らしく地べたを這いずり回りながら走る俺。  全ては全人類の為なんだ。吸血鬼の襲来を未然に防ぐため俺は満月の夜に走り回るのだ。 「なんて考えてみたんだけどさ。杏はどう思う?」  と俺は唐突に隣の吸血少女に尋ねてみた。 「七点」 「手厳し!」 「何が手厳しよ。いつから阿賀佐はハンターになったの?そして何時から僕は人類の敵みたいになってるの?」 「あ、疑問点はそこに行くんだ」 「?」 「いや、何でもないです」  俺はお茶を濁すように話を打ち切った。  そう、実のところ彼女は吸血鬼なんかではない。れっきとした人間だ。ホモサピエンスだ。  ただ普通と違うところがある。それは彼女が好血症である事。  症状は極度に進行しているらしく、自傷行為により自らの血液を飲むだけでは飽き足らず他人の血液を欲する。
/62ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加