エピローグ

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 しかもこの症状にかかると飲酒や喫煙のように日常化してしまい、禁酒や禁煙のように「禁血」することが困難になるとか。  禁血するには強い精神力と症状の根本的な原因を本人自らが探り出さないといけないとか。 「阿賀佐、奴らが来る。見つかった」  ブルリと子犬のように身を震わせ杏が呟いた。  五月の涼しい夜風が、場の雰囲気を一変させるかのように神社の石畳を吹き抜けた。 「下がって、奴らは私を狙ってる」 「今夜は何匹いる?」 「五匹」 「強そうか?」 「奴らの牙、赤黒く光っている。きっと噛まれたら灰になるんだ」 「今どこにいる?」 「狛犬の後ろに皆隠れて・・・・いや一匹が早速出てきたみたいだよ」  俺といっしょになって賽銭箱の上に座っていた杏は、ひらりとスカートをはためかせ石畳へとスキップしながら舞い降りた。
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