1.S氏の場合…

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こいつ、ちょっとヤバめかも…と思った時にはもう遅かった。Sは独占欲の強い男だった。 部屋で男友達と携帯で話していると、Sが横でテレビを観ながらしきりに舌打ちをしている。険悪な雰囲気に耐えられなくなった私は、携帯を切ればいいのに、そのままそろそろと部屋を出た。外に出て、話し相手に 「今外に出た。つうか側にいた男がキレ寸でさぁ」と言った。すると部屋からドタドタドタと走る音!私はすぐにその場から離れたが、Sが物凄い勢いでドアを開けこちらに走ってきた。携帯は通話中のまま、私は走った。話し相手も何が何だかわからなかっただろう。 すぐに追いつかれ、Sに私の服の襟を掴まれた。Sは「人をなめるのもいい加減にしろよ」と睨みをきかせて低い声で言った。
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