1.S氏の場合…

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私は、ずっとほったらかしにしていた本命の彼氏との平穏な日々が恋しくなり、思い切ってSに、元の彼に戻りたいと告げた。電話で済ませればと、後悔したが…Sは理由も聞かずに私の上に馬乗りになり、私の頭を拳で数発殴った。意識が遠のいていった。 しばらくして目を覚ますと、Sが壁際に寄りかかりながら泣いていた。何か言葉を呟いている。よく耳を澄ますと、ずっと「ごめんなさい、ごめんなさい」と言っていた。 私が上体を起こすと、Sは心配そうにこちらに寄ってきて、「大丈夫?」ときいた。
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