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-御崎市-
「悠二、早くしなさいよ!」
凛々しい顔立ちを少し歪め、背中まで達した長い髪を踊らせながら走っている。
「ちょっと待ってよ、シャナ。もう少しゆっくりーーー」
一般的、中肉中背の少年。坂井悠二がシャナの後を追い掛ける。
「もう、悠二が靴履くの遅いからでしょ。だから、自業自得。さっさと走る。」
「全く、ダラけているな坂井悠二。」
シャナの胸のペンダントから低いもう一つの指摘が返ってくる。紅世の王【アラストール】である。
「僕のせいだけじゃ無いだろ。母さんの弁当が出来上がるのも遅かったし。」
「うるさいうるさいうるさい!千草は、私たちのために頑張ってくれた。だから、悠二が靴履くの遅いせい。」
シャナは、悠二のせいにし終えると赤らむ顔を隠すため全速力で走り去ってしまった。
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