似て異なるモノ

3/3
前へ
/76ページ
次へ
この問題は結局、照明の下で透かして見ればイーじゃんと、簡単に解決し晴れてシャブを所持していないと疑いをクリア。   しかし次が俺にとっては釈放される瞬間にも絡んでくる忌まわしい出来事なのだ。   ここに収監される時には所持品、例えメモ帳の切れはし一枚でも洩らさず、資料として保管される。   声に出し 指差し確認でアヤフヤなモノは形状も備考として記される。   所持金――壱万なん百なん十なん円   携帯――1台   会員証――六枚   ……………と言った具合に。 問題なくサクサクと紙に記入される俺の所持品たち。 次に脱いだ服   コート 色――カーキ色   Tシャツ 色――黒色   靴下――色――黒?……いや 紺色? あれ? なにこれ……   どうしました、と自分の靴下を見ると は…は…恥ずかしい! 片方黒で、片方は紺! ビッコさんの状態で逮捕されていたのだ。   『うわぁ……お前…これは これは ないわぁ』と看守の一人がヒイている。 『ハハ…なんか……スミマセン…』   んもぅ んもぅ! 急いでたからしょーがないの!とグズりたかったが、何故か謝る俺と、どんびき看守。   釈放の時は指差して笑われたんだぜ! まあ その時はメデタイ席だったから俺も笑ったんだけどさ まいったね 正直。 ただ 今、言える事は変なあだ名が付かなかったから良しである。
/76ページ

最初のコメントを投稿しよう!

48人が本棚に入れています
本棚に追加