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『寿司握れますよ』
祐次郎は二号室にいるヤクザに向かって自分をアピールしていた。
後から聞いた話によると祐次郎も元ヤクザで、やはり警察の世話になる人達はヤクザ関係が多いのかと改めて驚いた。
ヤクザが良いとか悪いとか、俺が判断するのは間違っているが、経験上ヤクザでも上にいる人達はどこか頭1つ飛び抜けている。
人としての魅力があるのだ。
おそらく全うな(この表現が適切かどうかはわからない)職についても人の上に立つような何かを持っている
だけど、どこかがぶっ壊れているだなあ
大事な部品がイカレちまってるんだ。
『どーせー オメーが握った寿司なんて旨くねえって』
ケタケタ笑いながら二号室のヤクザが祐次郎をからかうように言った。
『何 言っちゃってるんですか 旨いっスよ』
『ワキで握ってんだろ 酢メシになるもんな』
『ワキでなんて握んないスよ』
『じゃあよ オメー答えてみろ 寿司は上から握るか、下から握るかよ』
『…上から……下から……なんすか それ』
笑いを堪えながら俺も菊地くんも、当直の看守さんも二人の会話をおもしれーなと思い聞いていた。
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