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『看守さん わかりますか』
二号室のヤクザが聞いた。
暗黙のルールで、恐らく必要事項以外は会話は禁止されているのだろう―――が、しかし運が良いのか悪いのか、俺が留置されているここは近所でも評判の(?)温い留置所だったのだ。
『…え うーん 俺としては下からシャリを握る職人さんの方が旨い寿司を握ると思うね』
『せいかーい。 な 分かる人は分かるの 祐次郎はゼンッゼン駄目 寿司の“す”の字もわかってないね』
怒涛の駄目出しに祐次郎は初日から凹んでいるように思えた……が、次の日の朝 洗面であった時にはケロリとしていたので頭の作りが単純なのだろう。
『オハヨー』
の挨拶に
『早起きっスね』
だって。
みんな早起きだっつーの
お前はワキで寿司でも握ってろと言いかけたが、昨日の看守さんと交代した若い看守さんにニラまられた気がして俺は急いで自分の牢屋に飛込んだ キャイン キャイン
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