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…ソレは、部屋の真ん前に倒れていた。
(はて…これは……新手のドッキリか?…にしては、俺に仕掛けても意味ないし…)
蒼空(ソラ)はとりあえず差していたビニール傘を畳んだ。
新井蒼空17才。現在定時制に通う学生である。目下の悩みは背が伸びずに中坊に見られること。蒼空が深夜バイトからクタクタになってアパートへ帰ると、その男は居た。
(死んで……はないよね?)
蒼空は恐る恐る揺すってみる。頭を下げている為、顔は見えないが全身びしょ濡れで首筋に手をあてるとじんわり熱を持っている。
「もしも~し、あのぅ~…」
今度は声をかけてみる。…が反応は返ってこない。
(これは…ヤバいかな?)
蒼空はしばらく考えた後、おもむろに部屋の鍵を開けると、そのまま意識のない男を部屋へ引きずっていった。
(目の前で死なれたら後味悪いもんな…)
引っ張ってみると、意識がないこともありかなり重い。が、一度助けると決めた以上蒼空の行動は早かった。
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