…雨…

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(とりあえず、部屋に入れたものの…どおしたもんかなぁ…) 蒼空は一人暮らしをしているため、布団なども一組しかない。狭い部屋にそれ以上の荷物を置く場所もお金もない。 とりあえずこのままでは、まずい。男を布団に転がすと、男の顔が露わになった。 「うわ…綺麗な顔…」 そう、そこにあったのは息を呑む光景だった。 スラリとまっすぐに伸びた鼻梁。今、目は閉じているものの意志の強そうな眉毛といい、薄い唇といい今まで蒼空が見たことのない完璧な人としての『美』があった。体はとてもがっしりしていた。 (芸能人とかにいそう…まっ、芸能人がこんなとこにいるわけないか…) 「ん…」 初めて男が声をあげた。慌ててそばにいくと、どうやらうなされているようで眉間には皺がより、タオルを握りしめている。 (あっ…) 蒼空は男の額にそっと手を当てて、さすってあげる。何故か無性にこうしてあげなければという思いにかられたのだ。 (なんか、ちっちゃい子が怖い夢見てる見たいでほっとけない…⁉てか、大の男に相手に何言ってんだか…) そう思うものの、何故か手を話すことができない。 しばらくそうしていたが、不意に男が息苦しそうにしていた為襟を広げようと、額から手を離した。 「…行くな」 「へっ…?」 不意に男に手首を捕まれたかと思うと、凄い力で引き寄せられ、蒼空は間抜けな声を発しながら男の胸に倒れこんでしまう。 (⁉……⁉) 蒼空の思考回路が停止している間も、男の力はますます強くなり、すっかり抱きしめられる形になってしまう。 (こりゃ…身動き…とれない⁉…) 「もしも~し~。お~い…」 やんわりと離そうとするが更に強い力で抱きしめられる。 蒼空の力では全く押し返す事ができない。 「困ったな~」 久しぶりの他人の体温に蒼空は懐かしさを感じた。 (なんか…こういう感覚って久しぶりだな~)
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