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蒼空が中学校2年生の時、蒼空を育てる為に働き通しだった母親が死んだ。父は蒼空が幼い頃に事故死しており、以来母は女手一つで頑張っていたのが祟ったのだ。蒼空がアルバイトをして帰ると母はもう息をしていなかった…。
(…ちょっと位なら…いいかな…)
ドク…ドク…
男の心臓の音が蒼空の耳に響く。
やがて…一仕事終えていた蒼空はだんだんと瞼が重なって行き、夢の世界へと誘われていった。
「…い……おい…おいっ‼」
どこからか声がする。低い。が、綺麗なテノール。
(すげーいい声。だけど、もぅちょい寝させて。なんかとっても気持ちがいいんだけど……)
「起きろってんだよ!!タコ‼」
‐ドガッ‼
鈍い痛みに蒼空の沈んだ意識が次第にクリアになっていく。目を開けるとそこには―。見知らぬ男のドアップ…。
「⁉う……わぁ~~~‼な、なんっ…」
「五月蝿い、…耳元で馬鹿でかい声出す奴あるかよ……起きろ」
男に言われるまでもなく、蒼空は飛び起きた。
(まてまてまて~~‼落ち着け、自分。)
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