…雨…

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あれから2日が経ったが、永久の記憶が蘇ることもなく以来永久の宣言通り、蒼空の部屋にいた。 そして今何故か蒼空は永久と一つの布団で寝ている。 寝るスペースも余裕がないこと、永久が病人だということを含めて最初蒼空は雑魚寝を決めていたのだが、 『蒼空はこの部屋の主だろ。主が雑魚寝で居候が布団てどーよ?』 『どーよって…』 『…わかった。じゃ一緒に寝ようぜ』 『はぁ!?何故そうなる!?』 『はい。決定~!!』 こうして半ば蒼空の意志関係なく、永久に押し切られる形となり今に至る。 (結局、あれからわかったことといったら、料理が壊滅的にド下手だってことと、事なかれ主義であまり物事に興味がない…) そう、永久が料理を作ろうとしてレンジが爆発して以来、永久には二度と触らぬよう厳重注意している。 (あとは…夜中にくるアレ…) 「っ!…行くな!」 (きた、また例のアレだ。) 突然、息が出来ない程強く抱きすくめられる。呼吸も荒くなっている。 蒼空は永久の首に優しく腕を回すと、ゆっくり話し始める。 「って!!大丈夫だって、行かねぇって…なっ。どこにも行かないから…」 繰り返し繰り返し、永久に囁く蒼空。 と、少しずつ永久の力が弱まり、寝息も落ち着いてきたのを見計らって蒼空はそっと息を吐いた。 (これなんだよな~。俺が雑魚寝でいいって強く言えない理由…) そう、永久は夜中になると悪夢にうなされる。あまりの苦しむ姿に雑魚寝をしていた蒼空も目が覚めてしまったほどだ。男2人が抱き合ってるなんてかなり変な図であることはわかっている。が、いてもたってもいられず、結局永久を宥めて一緒に寝ている。これで三日連続だ。永久に夜中のことを聞いてみても覚えてないようで、変な顔をされる。 (記憶喪失なのとなんか関係あるのかな…。記憶ないのってどんな感じなんだろ?) 親や友達はおろか自分の今まで携わってきた何もかもが消えてしまったら…。 (っ!!嫌だ!!怖い…) 考えただけで、背筋が凍る。足元から崩れていく感覚…。 蒼空はとっさに永久のシャツの裾をギュッとつまむ。 (嫌だな、母さんが死んだ頃のこと思い出すなんて…しっかりしろ!!蒼空。男だろ。) 自分を鼓舞しながらも握った手を離せないまま、蒼空は睡魔がやってくるのをジリジリと待った。 …夜明けは、まだ遠かった。
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