2人

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今日もバイトに明け暮れ、やっと帰ってきた蒼空は自分の部屋からもれる灯りに何かくすぐったい気持ちになった。 永久は何をしてくれるというわけではないのだが、自分を待ってくれる人がいるだけで帰り道も早くなる。 (変だよな…でも誰かが家にいるのって本当久しぶりだ) 「ただいまー!!」 「おぉ、おかえり。…なぁ、蒼空。俺腹減ってた」 「なら、作ればいいだろ?材料は一応あるんだから」 「…俺が作るとすげーことになんだろ?」 「…ちょっと待て、今作る」 そういうと、荷物をすぐ置きテキパキと料理を始める蒼空。永久は、そんな蒼空の姿をなんとなくテーブルに頬をつきながら目で追う。 目を覚ますと見慣れない部屋にいた。パニックになりかけた所に心配そうに覗き込む少年の顔が飛び込んできた。 少々野暮ったい印象の少年だが、目があった瞬間吸い込まれそうな澄んだ瞳に心が揺れる。 ひとつひとつのパーツはいいのに長めの髪が少年の顔を隠してしまっていた。 かと思えば、次の瞬間、目をギラギラさせて永久に問いかけてきた。 目の迫力が増し、目を離せなくなっていく。そして、名前を名乗らない永久にきっぱりと名乗れと話した、蒼空。永久は蒼空から目を離せなくなった。自分の容姿が飛び抜けていることを自覚していた永久は、自分が他人にどう写っているかを幼い頃から熟知しているため永久が思い描くように他人を動かすことができていた。男も女も思いのままで、常に永久の周りは賑やかに彩られていた。 が、永久の周りに人が集まるほど永久の気持ちは冷めていく。恋人も常にいたが、心動かされることはなく自然消滅することが多かった。 『私のこと見てないよね?永久の心に私、居ないよね…』 いつだか、別れ際ある女性言われたことがあった。 それでも、心に響くことはなく、去っていった。
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