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[本当に寝ている最中の出来事なんで……自信はないんですけれどね]
それでも空耳のようにドアがほとほと……ほとほと……と叩かれ、ドアの向こう側でこちらの気配を探っている人のいる気がするという。
それは月に数度、起きた。
あの夜、と言っても既に朝方に近い時刻ではあったが女の絶叫が聞こえた。
[それが単なる叫び悲鳴とかじゃなくて]
聞く者に生理的嫌悪感を感じさせるような怒り憎しみの入り交じった絶叫なのだという。
[こう聞いているだけで、じわっと背中に汗が浮いてくるような……。あんな声って初めて聞きましたよ] その絶叫の合間にバンバンと何か殴りつけているような音が続いていた。
見るとあの女が角の掲示板を無茶苦茶に殴りつけていた。
目は虚ろで口からは泡のようなものが噴きこぼれていた。
異様だったのは女は素足にブルーのネグリジェ一枚、その腰から下の辺りが赤くぬらぬらと濡れて外灯の明かりに光っていた。
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