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[ぐわぅぁぁ。ああああああ……ぐがうわぁ……]
女の拳は潰れてしまったのか真っ赤になっていた。<ゴミは責任を持って出しましょう>とか貼られた掲示板は歪んでしまっていた。
自分と同じように近所でも窓の隙間から様子をうかがっているのか、文句を言ったり、飛び出したりする人影は皆無だった。
ところが、どうしたことか女がぱたりと掲示板を殴るのを止めた。止めて何か獲物を見つけたかのように一点を目の玉を飛び出すようにして直視する。
[冗談だろぉ……]
女は二階の窓から覗く高橋を見つけていた。
高橋は反射的にに窓から離れ、蒲団に潜り込んだ。 何もなければ良いと思ったのも束の間、ドカドカドカと階段を駆け上がる音とともにドアが叩かれ始めた。
[それにものすごい勢いでノブがガチャガチャされて]
見る間にノブ自体がドアから浮き上がり外れそうな勢いだったという。
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